幸せの鐘をたくさん鳴らしてほしいと言う願いから、ベルと名づける。
しかし、出会ったころは何でも食ベルのベルだった・・。
我が家の家族の一員、ゴールデンレトリバー(ベル:女の子)です!
ベルが我が家に来る2年程前に、同じゴールデンレトリバー(バグワン:男の子)を飼っていました。
その子はペットショップより2ヶ月くらいの時に、我が家にやってきました。
12年と数ヶ月を共に過ごした本当にかけがえのない存在でした。旅行もいつも一緒でした。
バグワンが旅立ってしばらくは、すぐに犬を飼うことが出来ませんでした。
2年ほど時がたち、家族みんなが、「また犬と一緒に暮らしたい。」という気持ちになり、今度は、ペットショップではなく、里親になろう!と家族みんなで話し合いました。
ベルが我が家に来たときは、すでに白内障で片目が見えていませんでした。
ベルは、保健所であと1日遅れていたら・・・・。と言うそのときに、里親会の方に救われた犬でした。
里親会の方に伺うと、保健所に引き取られる前は、おそらく悪質なブリーダーに繁殖するためだけに身動きが出来ないほどの小さな檻に入れられて、ただ機械のように子どもを生まされていたに違いないとのことでした。体格も大きくなれず、排泄物まみれになっていたとのことです。
体重は17kgしかなく骨と皮だけになっていたとのことです。ベルは、他の犬たちとうまく、コミュニケーションがとれずにいました。
里親会の方も、一頭飼いを条件としておりました。
他にも若くて、元気のいいゴールデンレトリバーが数頭おりましたが、
ベルと目が合った瞬間、「ビビッ」ときて、この子の里親になることを決断しました。
その後里親会の方と話し合い、条件をクリアし、避妊手術を済ませ引き取りました。
ベルは、里親会の方が引き取る前は、ろくに食べ物も与えられずにいたので、
食事に関する躾はまったくされていませんでした。
とにかく目に入るものは、何でも口に入れてしまい、小型犬や小動物を見ると、興奮して、飛び掛って食べてしまうのではないか、という勢いでした。
仕方がありません。ベルが悪いのではありません。
考えられないような過酷な状況の中で、なんとか命だけはつないできたといった状態だったのですから・・。
温かい関わりや、愛情の中で育てられていないことがすぐにわかりました。
もちろん、目を合わせることも出来ませんでした。
ただ食べること、命をつなぐことだけがすべてでした。
我が家にきてすぐ、今までお世話になっていた獣医さんに健康診断を受けました。
推定5歳過ぎと言うことで我が家に来たベルでしたが、先生は明らかに「10歳は過ぎていますね。」ときっぱり。
毛並みや歯の状態、ひげその他全体を見て推測すると、10歳は過ぎているということでした。
ベルが実際に何歳なのかは誰もわかりません。そんなことはどうでもよくなりました。
ベルがこれからの時間をどう過ごすかの方が大事でした。
「この世に生まれてきてよかった。」「あなたと出会えてよかった」と思える時間を、共に過ごすと決めました。
それから、ベルと心通わす関わりが始まりました・・。
以前にも同じレトリバーを飼っていたので、大体のことはわかっていましたが、まるで勝手が違っていました。
私自身、相当な時間を費やして、世界で活躍するドッグトレーナーの本を読んだり、DVDを取り寄せて勉強もしました。
世界大会で何度も優勝経験のある先生曰く、私の訓練方法は、ほとんどの犬に効果があります。
ただし「トラウマ」を持った犬にだけは、通用しませんとのことでした。
ショックでした。まさに、ベルは「トラウマ」体験をもった犬だったのです。
人に対する、恐怖心。身動きが取れない場所で、トイレもさせてもらえない、食事もろくに与えられない、そんな環境でただ繁殖することを目的に飼われていた・・・。
わたしは、決めた。もう本や、誰かに頼るのではなく、自分自身の真心と愛情で育てると・・。そして必ず信頼関係を築くと・・。
それからは、毎日寝起きを共にし、トイレの習慣もないので、排泄まみれになってしまう体をその都度、洗い、毛布を洗い、声をかけながら、関わり続けました。そばで、話しかけながら、愛情の中で育んでいきました。
「トラウマ」体験をした犬は、「もう元には戻らない」・・・。
「いや絶対にそんなことはない」、「必ず心は通じ合う」と信じて関わり続けました。
テクニックではなく、真心で、愛情で、祈るような気持ちで接し続けました。
食事の気配を感じると、興奮して我を忘れてしまうベルですが、少しずつ心を開き始めました。
1年を過ぎたあたりから、私を目で追うようになり始めました。考えられないことです。
庭に出ると、近所の犬の鳴き声に興奮し、人の気配に興奮し、走り回っていたベルが、
今では、私のそばに寄り添い、穏やかな表情で私の目を見つめるようになりました。
躾けるのではなく、会話をしました。たくさん撫でました。心に届くように心を込めて関わりました。
もうすぐ5年目を迎えようとしています。
最近は死角に入ると、そばにいても、私を発見できないことがあります。
でも、心や空気で私のことを察しているのがわかります。
足腰も少しずつ弱くなっていますが、昼間は庭を走り回ることも出来ます。
自分の家や、庭の空間は頭の中に入っているようで安心できるスペースのようです。
「よかったね、心安らぐ場所が見つかって・・」
「私たち家族も、君の存在にいつも癒されているよ・・」
あれだけ大変だった食事の騒ぎも、最近では、私がそばを離れると食事をやめて私を探しにきます。
一緒に戻り、「食べていいんだよ」というと、安心して食べ始めます。
つながったんです。心と心が・・。
いや、テクニックではなく、真心と愛情で接すればつながるんです。
今では、私自身が出会えた喜びに、感謝しています。
いつも100%の信頼で、心を預けてくるベル。
「信頼関係ってこういうことかな?」って感じる時があります。
動物も、人間も、すべての存在はきっとこのようにつながることが出来るんですね・・。
ベル。いつもありがとう。
君と出会えて本当によかった!
これからもよろしくね。